フュージング作品の逸品があります。
四国のある作家さんの作品です。
高さ36cmもある大きな花器です。
この作品は決して吹きガラス技法で作ったものではなく、
フュージングの落とし込み技法(サギング)で作られたものです。
上の部分は厚み15mmくらいあります。
これをチッピングハンマーでクラックを入れます。
そしてオリジナルのサギングリングに乗せて
電気炉の温度をゆっくりと上げていき
ガラスの落とし込みをしていきます。
下部分はあらかじめ別に作っておいた土台を置いておき、
落ちてきたガラスがくっついて少し曲がったポイントで
急冷して固めてあります。
この絶妙な曲がり具合はほとんど神業に近いものがあります。
10回やって1回成功するかどうかの絶妙の曲がり具合だと
作家ご本人から聞きました。
真上から見るとさらにその凄さが分かります。
落ちていったガラスに微妙な筋が入っています。
まあこれだけの絶妙なバランスで出来ている
フュージングの作品を私は見たことが無いです。
理屈ではこういう風なやり方で作ったのだろうと想像はつくのですが、
たぶん実際にやってみると絶対に同じようには出来ないでしょう・・
しかもこの作品はプログラムコントロールを使っていない
マニュアル焼成なんです!!
すでに10年以上経過しているのですが、
ビクともせずにJUJOの2階展示場にスラリと立っています。
奇跡としか言いようがありません。
?
その作家さんは現在はガラスをやっていないそうですが、
作品を見るたびに「もったいないなあ」と思うこの頃です・・・
by? Tajima